私は、今、新しいいのちの真っ只中にある!

 今から2500年前、お釈迦様は「すべての存在の真理」を「縁起の道理」として悟られました。

 「縁起の道理」とは、『宇宙すべての存在は、ご縁によって作られた存在だ』という、「宇宙存在の真理」・「いのちの真理」のことなのです。
 自己の力で、それ自体で成立する自立自存の存在で、それ故に他のものに影響されない存在のことを実態存在と申します。「縁起の道理」とは、そのような実態存在ではなく元々ゼロ(「空(くう)」)だったのが、ご縁をいただくことで作られた存在だということです。

 すべての存在がご縁によって作られたというこの真実は、(全ての)存在は、ご縁によって100パーセント影響されるということを意味しています。

 ご縁は変わります。だから、「いつもと同じというわけにはいかない。変化する。」とういことです。ということは、『この宇宙には昨日と今日とでは同じものは何もない』ということになるのです。
 昨日見た川も山も太陽も、今日は違う。花も犬も冷蔵庫も車も私たちも、昨日と今日では違っているのです。見た目の変化は少ないので、昨日と同じように感じるのですが、本当は昨日と今日では違うのです。全てがもとにはもどれないのです。もっと言えば、一秒前のあなたと今現在のあなたも違っているのです。

 さて、よく聞く言葉に「一期一会」と言う言葉があります。もともと茶道の心得を表した語で『「一生にただ一度の出会い」と心得て茶席に臨むべし』ということのようですが・・・。
 「あの人とは2年前にもご一緒したな。あ、去年もだ。そして今日も・・・」なんてことがあると、まてよ、普通に考えると「これって一期三会ではないかな」と思ってしまいませんか。

 ところが、いのちの真理である仏教からすると見事に「一期一会」なんです。なぜなら2年前に出会ったあの人も、2年前の私も、もういないんです。だから、今日は今日のあの人に今日の茶席で、今日の私が出会っているんです。だから常に「一度の出会いしかない」のです。

 もとに戻れないことを必ずしも悲観的にとらえることはありません。むしろ、もっとダイナミックなことなのだと受け取るべきではないでしょうか。もとに戻れないのですから、『あなたも私も、常に、この今の今、今という瞬間、「新しいいのち・新しい出遭い・新しい時」の真っ只中に生かされて生きている』という実にダイナミックなことなのではないのでしょうか!

 どうでしょう。生きる勇気が出てきませんか。生きる喜びが湧いてきませんか。「いのち 今を 生きる」です。南無阿弥陀仏でございます。 

2024年02月20日